spring / summer 2026
- 況 ; bracing -
予言は未来の推測だけではなく、限りある時間を過ごすためのプロセスでもあります。
構えは身体における原理的な所作のひとつであり、日常の変容に対する処置的動作です。
2026 年春夏で、mukcyen は個々に内在する作為的な安心への疑問と創作を通した
アダプテーションに反映されている人の感知の探求を演出します。
単一化することができない現実のパノラマに対して、慌てふためき、よろめいてしまうような
儚さ、脆さを描写するのではなく、真紅に染め、身を防護し、転んだりすることを恐れない
永続的な勇ましさに美の価値を置く。
それは、人と人が普遍的な感覚から多面的な情報までを共有する親密さに気づき、
まして有限的な時間について考える契機につながるのです。
起こり得る時間を見込むことは誰にもできません。
突然訪れるその瞬間。
寝ているかもしれないし、仕事をしているかもしれない。
大切な人とのひと時を過ごしているかもしれない。
だからこそ、日々の欠片を見つめているのです。
オケージョンにおける型式は幅広く、そこに実用性は不可欠です。
内と外の境界線は、疑わずとも自然に溶け出しました。
ブランドの象徴的なセカンドスキンはカットソーに展開されています。
キュプラ地を重ね、長時間着用を見越したルームウェアのような着心地に。
ほんの一瞬で外に出ることができるシチュエーションのデザインは、密封性を起点にした
エンカプセレーションシリーズに落とし込まれています。鞄の造形を着想にしたハーネス使い
と肩甲骨を意識したフォルムを併せたスキャプラハーネスはジャケット、ビスチェ、ショート
パンツとなり、人体の神秘性を日常的なスタイルに変換。
ストレッチの効いたコットン地のジャンプスーツは、マットな質感とジャケットラペル、
スタンドラペル、バンドカラー、大判のポケットを仕立て、
どのようにソリッドに流動的であるべきかを着用者の手に委ねます。
パーツ・オブ・ボディーやレイヤリング、ドレーピングといった手法は、
最早ブランドの象徴的なギアになっています。
結局のところ、備えは劇的です。
現実はあまりにもベールに包まれていて、息苦しくもあるし、魅惑的でもあります。
SF 映画や占い、タロットカードも生と死と同様に常に並列されている現実です。
平穏に向かう道中は、平穏であることはありません。感覚は突然降りてきます。
定型文や、通例、慣習で捉えられることを拒絶し、誰もがそれに相応しい名を付けることができません。
方程式のない、非論理的な時間の経過に浸れば浸るほど、
私たちは本質的に価値と一貫性を導き出すことができる何かを探し求め、都会の喧騒や騒々しい世界に
一寸の意味を見出します。
自分自身に問い質すことは、不確定な運命の気質の膿である不安や苦痛を和らげるセラピーといえるでしょう。
それは、ほんの 10 分足らずの時間かもしれません。
ただ実際は、その儚さや一貫性の無さからは程遠く、洋服を着脱することを通した思考は、
無を赤く染め上げるかのように、自己のアイデンティティーを炙り出す役割を果たすのです。
Spring Summer 2026 COLLECTION
mukcyen